知的生産
audience: エンジニア、知的生産・思考法に関心のある人、一般 / purpose: 『知的生産性の向上(手段)と文明の進歩(目的)』という一貫した関心軸を示し、その主語が個人→道具→AI→集団へ拡張してきた20年の物語を伝える / author: nishio
知的生産とは知識を生み出すこと(梅棹忠夫『知的生産の技術』の系譜)。教科書に載っている知識は複製可能で差別化になりにくく、応用の現場で『状況に合わせた知識を生み出すこと』にこそ価値がある。この関心軸は一貫していて、変わったのはその主語——個人 → 個人+道具(外部脳)→ 個人+AI → 集団(ブロードリスニング)へと段階的に広がってきた、というのがこの20年の物語。
個人:頭の中の作業を書物に (2007–2014)
▸ 関心軸の制度的な拠点。サイボウズ・ラボで知的生産性を高めるソフトウェアの研究に就いた。
▸ 個人の探究を雑誌特集に。Rubyの作者まつもとゆきひろ(Matz)との共同特集(WEB+DB PRESS Vol.60)で、言語設計の基礎知識をまとめたこの記事が『コーディングを支える技術』(2013)へ発展した。
▸ 個人の頭の中の作業を書物にする。プログラミング言語の進化史から、陳腐化しにくい知識を選んで書いた。
▸ 知識を扱う技術のもう一つの面——単語を高次元ベクトルとして扱う技術を一冊に。
個人+道具、個人+AI:外部脳とツール (2017–2022)
▸ 主語が『個人』から『個人+道具』へ。Scrapboxを外部脳として、思考の作業ログを公開で蓄積し始めた。
▸ 関心軸そのものを一冊に凝縮した中心的著書。知的生産の技術をエンジニア視点で分析した。
▸ 主語が『個人+AI』へ。質問を返して言語化を促すチャットボット——ChatGPT以前から『会話で言語化を支援する』を実装していた。
▸ 言語化に対する『構造化』の相方。KJ法の系譜を継ぐデジタル文房具で、Grouping(2014)から続く考えを整理するツールの試みの現在地。
▸ 中心的著書を英語で無料公開し、読者を国境の外へ広げた。
集団へ:大勢の主観 (2023–現在)
▸ 主語が『集団』へ向かう転回点。『一人の主観から大勢の主観へ』をChatGPT特集に寄稿した。